昨今メディアで取り上げられるようになり、認知されつつある“発達障害”。
これまでは性格や気性などと区別がつかず、コミュニケーションの難しさなど支障を抱えながら生活して来た方々が、診断により特性を見つけ障害と向き合えるよう変わりつつあります。
また、幼少期のうちに障害を見つけ、ソーシャルスキルを身につける事が大切だとも言われています。
予兆を見つけ、診断する方法や基準について、娘を事例にお話したいと思います。
発達障害とは何か
生まれつき脳の発達に問題があり、社会性など生活に支障をきたす状態を指します。
その中でもパターンがあり、
- ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)
- ADHD(注意欠如・多動性障害)
- LD(学習障害)
などに分類されています。
症状は千差万別であり、パターンの区別がしにくいことから、最近では自閉症スペクトラムと呼ばれるようになったと医師から説明を受けました。
このスペクトラムという言葉は“連続体”という意味であり、自閉症スペクトラムと診断される幅はひろがりました。
うち45~60%は知的障害を伴うものと言われています(wikipediaより)。
原因と遺伝について
原因は先天的であるとされながら、遺伝的因子の関与が考えられるとも言われています。
研究によると、父親が40歳以上の新生児は、自閉症や関連の症例が30歳未満の父親の場合の約6倍で、30~39歳の父親と比較すると1.5倍以上であったとされている。…得られた知見が社会的に晩婚になる男性の遺伝子特性であるのか、遺伝的個人差を問わず加齢が精子に及ぼした影響であるのかは、明らかにされていない(wikipediaより)。
明らかにされていないとは言え、我が家のようなケース(出産時:父47歳、母40歳)ではリスクが高かった可能性を否定しきれません。
健康に産んであげられなかったという後悔の念が募ります。
自閉症スペクトラムの症状と診断までの経緯
多動、不眠、こだわりの強い乳児期
娘は低体重で生まれ、1歳で神経内科を受診。てんかんの診断を受け治療を続けています。
その中で、動き過ぎてミルクが飲めない事や、奇妙な連続運動をする娘の事を医師にこぼしたところ「てんかんと自閉症の合併はおこりやすいもの」という説明を受け、以来精神発達外来を受診することになりました。
ちなみに自閉症の11~39%はてんかんを併発していると言われています(wikipediaより)。
娘の特徴として、
- 動き過ぎてミルクが飲めず、満腹感が得られない娘は1日4時間ほどしか睡眠をとらなかった。
- バタバタと激しく上下に脚を動かし続ける。
- 人見知りが激しく、慣れない人と目を合わせることができない(3歳まで続く)。
- 自分で決めたルーティンワークから外れる事を極端に嫌がる。
発達外来では、このような状況を伝えていきます。また医師から日常における行動面について細やかな質問をされます。それらを総合的に判断し経過観察が二年ほど行われてきました。
娘の場合、発語に問題(か行が行が言えない)がありながらも意思疎通は出来る事から、即自閉症という判断には至りませんでした。
バイバイが出来なくて
診察を終えた娘が逆さバイバイ(自分の方に手のひらを向けてバイバイする)をして見せた事により、自閉症の可能性について説明を受ける事になりました。
また、自閉症の割合には男女差があり、女性は男性の10分の1の割合しかいない事も告げられました。
今思えば、つま先で歩きたがると言う行動も自閉症スペクトラムの傾向をあらわしていたものと考えられます。
しかし3歳になり、このような特徴を持つ子供に多いこだわりの強さが、障害までには至らないと判断されました。
例えば
“特定のおもちゃ以外で遊ばない”
“同じ道順以外を通りたがらない”
などの極端なこだわりがなかった為、一旦精神発達外来は終了となってしまいました。
何故3歳は発達外来の区切りとなるのか
3歳以降になると、幼稚園や保育園に通うようになります。その環境の中でソーシャルスキルが試され、子供の異常に気づきやすくなります。
特に昨今では、発達障害に対する意識の高まりにより患者が急増。どこの医療機関も予約でいっぱいという現状にあります。
よって必要に迫られた方のみ受診するよう促されてしまいます。我が家においても、娘が入園し社会に出た様子で受診し直す事を求められてきました。
娘の場合、3歳を過ぎた頃に家庭や園で“次に何をすれば良いのか?”と言うところでつまずきがみられるようになっていきました。
次にすべきものを忘れて逸脱した行動を取ってしまうのです(注意欠陥)。
叱責中にも関わらず笑い出し、場の空気と関係ない態度が目立つようにもなりました。
とうとう園で間違いやミスを指摘された時、娘が先生を無視してしまうと指摘されるようになり、周囲が困り始めました。
丁度そんな折、自治体の巡回発達面談があり相談したのをきっかけに、発達外来の再受診を勧められたのでした。
かかりつけの総合病院は、重症者しか診ないという理由から断られてしまい、街のクリニックで受診をすることになりました。
しかし、予約がいっぱいで受診まで2ヶ月近く待つ事になりました。受診を待っている間に、娘は5歳になっていました。
そして、初めて発達診断テストWISC(ウィスク)を実施したのです。
WISC(ウィスク:児童向けウェクスラー式知能検査、Wechsler Intelligence Scale for Children)について
5歳児より受けられるWISC-Ⅳという発達検査を娘に受けさせました。
この検査を受ける事により
- IQ、言語理解(言葉を理解し、使う力)
- 知覚推理(視覚的情報を理解し処理する力)
- 記憶(情報の保持、処理能力)
- 処理速度(作業のを早さ、正確さ)
について発達の状態を調べることができます。テストは1時間ほどかけて行われます。
例えば、
- この中で仲間はどれですか?
- 絵をみながら、積み木でつくってみましょう。
- 数桁の数字を復唱してみましょう。
- たくさん絵がある中からラッパの絵を選んで下さい。
などです。
テスト中は、本人と臨床心理士さんのみで行われ、親は外へ出なければなりません。後にまとめて結果報告を戴くようになります。
5歳児においては、テストをするにはまだ幼いため、テストの点数よりも取り組み方に重きを置かれ観察される傾向があります。
例えば、
- 質問の投げかけについて意味を理解出来るか。
- 理解した事を実行に移せるのか。
- 子供から投げかけはあるのか(よくわからない、またはわかったなど話しかけてくるか)。
- じっとして取り組めるかどうか。
- 緊張し過ぎていないかどうか。
などを観察されます。
娘の場合、約1ヶ月後にテストの点数結果と取り組みについての見解が報告されました。
自閉症スペクトラムと診断されて
最初に注意欠陥と過緊張の指摘を受けました。
知能指数は普通レベルだったものの、発達の凸凹が確認出来ました。
知的障害がないとは言え、出来ない物事に関しては平均を大きく下回り、出来る事が突出する凸凹の折れ線グラフとなって結果が出て来たのです。
このことは、低体重出生児やてんかん患者にも見られる発達の凸凹だと言われています。
娘の場合、たくさんの絵の中からラッパを見つける事が困難だった様子です。
ラッパを見つけるという課題よりも「うわぁ、たくさん色んな絵がある」と眺めてしまう事を優先してしまうのです→注意欠陥。
さらに、初めて出逢った臨床心理士さんと二人きりでテストに挑まねばならない環境は、強い緊張を伴いました→過緊張。
緊張により取り組めなかった事が大きく点数に反映していました。
日頃の様子や、テスト中の様子を鑑みた結果、自閉症スペクトラムと診断をされました。
そして、叱っても誉めても効果の薄い特性があると言われました。
少数派である女児の自閉症
治るのでしょうか?との問いに医師は「治りません、性格と同じです」そう話されました。
その時の絶望感を忘れることができません。
しかし、早く発見出来た事をラッキーと思うよう告げられ少し前向きな気持ちになれました。
「ソーシャルスキルトレーニング(療育)を積んで下さい」と言われ、てんかんでお世話になっている総合病院へ紹介状が出されました。
しかし、総合病院も予約待ちが長く、結果療育する所を自力で探さねばならなくなりました。
→その後、療育を受けるまでの記事は↓↓↓の記事を参考にして下さい
”https://fun-mom.com/childcare/8696/″
まとめ
大人になって発達障害がわかるケースが増えつつあります。障害による生きにくさは、社会人になった時に大きく現れ苦悩を伴うと言われています。
人は誰でも発達の偏りを持っていると医師は言いました。
しかし、生活に支障があるならば障害となります。
早い診断は重要であり、幼いうちからソーシャルスキルを身につける事で、生きにくさを少しでも軽減させる事が可能です。
障害を一つの個性と捉え、取り組む事が大切と言えましょう。