自分なりに頑張って来た40代、ふと気付けばもうこんな歳に? …そんな方もいらっしゃる事でしょう。
これから結婚するのだろうか?
もし家庭を持ったなら子供は?
結婚の適齢にリミットは無いかもしれない。けれど出産のリミットは?
仕事、更年期、介護…女性にとってイベントの多い40代。
そんな世代の出産に対するリスクと心構えについてお話していきたいと思います。
【まず不妊の問題が…】
日本の不妊症率は16%などとも言われている昨今、6組に1人は不妊で悩まれているという事に。
高齢出産とは、統計上または医学上、女性が35歳以上で子どもを出産すること。
日本産科婦人科学会によると高齢出産とは、35歳以上の初産婦(Wikipediaより)。
さて、40歳を超え更に45歳、46歳で出産出来る可能性を考えてみます。
年齢別で自然に妊娠する確率とは
・25歳 : 25%~30%
・30歳 : 25%~30%
・35歳 : 18%
・40歳 : 5%
・45歳 : 1%
『あと5歳、10歳若かったなら』そう思わずにはいられません。
たったの1%…45歳では、こんなにも確率は低くなってしまうのです。
年齢別で流産する確率とは
34歳未満……15%
35~39歳……17~18%
40歳以上……25~30%
妊娠する確率が1%しかない中で、3分の1近くが流産の危機にさらされてしまいます。
『奇跡』というレベルの話になっていきます。
年齢別で赤ちゃんが健康に産まれるかどうか
晩婚化で高齢出産が増えている現状では、健やかに子供を授かる難しさが統計に現れています。
年齢と共に急速にリスクが上がっていく様子は一目瞭然。
45歳という年齢で、約20〜30人に1人染色体異常のお子さんを出産するという確率を知ったなら、出生前診断について“悩まざるを得ない”のは致し方ない事でしょう。
子供のかかりつけ病院で、ダウン症のお子さんに出会う事は多いです。
心臓疾患など合併症を抱えていらっしゃる事が多い為、よく病院でお見かけする事になるのだと思います。
ダウン症における“症状の幅”は大きいと感じます。
その幅により、生活の支障の度合いは変わってくると思われます。
障害という個性とどう向き合うか、妊娠を考える前にしっかりとした心構えが必要となるでしょう。
そして自然妊娠が無理ならば、頑張って治療を受けられる事にもなるでしょう。
しかし、不妊治療で子どもを持てる確率は治療開始が40歳なら1割、35~39歳だと4割(東洋経済オンラインより)と言われています。
不妊治療へ望みを託した方の例を挙げてみます。
老舗の料亭に嫁いだ知人は、跡継ぎが不可欠という環境下で長らく不妊治療に取り組まれました。
流産を繰り返されたものの、治療の甲斐あって40歳で双子さんを無事ご出産されました。
本当におめでたい話の一例ですが、そのエネルギーの大きさは計り知れません。
年齢による不妊とは別に、疾病による不妊も見逃す事は出来ません。
私の場合、子宮筋腫を患っていたため妊娠は難しいとされてきました。
子宮筋腫、今や女性の4人に1人は罹患すると言われています。
主人と話し合い、子どもの居ない余生しか考えないよう過ごしてきました。
そんな私が自然妊娠で出産をしました。
40歳の時、主人(当時46歳)の会社が傾き始めた頃でした。
『子供が出来ない体で丁度良かった』初めてそんな風に思えた時でもありました。
50歳を超したところで主人はリストラされました。再就職の難しさを思い知らされています。
無収入の中、子供を育むというプレッシャーが、日々重くのしかかっているのです。
子供が成人する時、私達夫婦はもう高齢者なのですから。
【ハイリスクで出産するという事】
子宮筋腫があっても無事に出産されるケースは多くあります。
しかし無事でない場合、費やすエネルギー『時間・お金・体力』は計り知れないものがあります。
通常、妊婦検診は各自治体から戴くクーポンを利用して無料で受けられます。
出産には補助金が支給され負担は“ほぼ無い”のがスタンダードです。
しかしハイリスクとなった途端、医療連携をされ大きな病院へ。
更にハイリスクとなり、もっと大きな病院へと転院を余儀なくされます。
母子共にハイリスクである患者を受け入れられる病院が少ないという実態に振り回される事もあります。
高齢出産ならばNICU(Neonatal Intensive Care Unit=新生児特定集中治療室)がある総合病院をお勧めします。
そして移動や精密検査で思わぬ出費が重なり、自費の負担は多くなっていくものです。
私の場合、筋腫の上に胎盤が出来上がりハイリスクまっしぐら。
胎盤が大きく育たず、へその緒が極端に細かった…これらは産まれるまで解らない異常でした。
胎児の発育不全がおこり、低体重1900gで産まれた子供は暫くGCU(Growing Care Unit=回復治療室)に入院しました。
出産にいたっては、ハイケア分娩室(緊急帝王切開に備えた部屋)に3日も居たため費用は約100万円。
補助金の2倍以上費やす事となりました。
【ハイリスクに克つ気力】
お腹の赤ちゃんが元気か否か。『産まれてみないと解らない』というのが現状です。
ここが一番苦しく悩ましいのです。
『産まれてみないと解らない』という言葉を医師から毎週のように聞かされる心の負担は厳しいものがあります。
今は出生前検査が血液検査で行える時代になりました。
羊水検査だった時代、この検査をするか否かで相当悩む事になりました。
40歳を超えると羊水検査で流産するリスクより、先天性異常の子を身籠る確率の方が上回ってしまうのです。
私達夫婦が出した結論、それは『とにかく産む』ということでした。
流産のリスクがある検査はしないと決めました。
羊水検査では、染色体異常しか解らないのです。自閉症や他の疾病は解りません。
そして、どんなに覚悟をしてもしきれないという出来事に遭遇します。
壁を隔てた隣の分娩室で、死産されたお母さんの悲しい一部始終を聞く事になってしまいました。
子供を授かる奇跡、産まれる奇跡…全てが揃わなければ出産に至らないのです。
ハイリスクであった私を支えて下さったのは、市の保険師さんでした。
悩みを聞いて下さり、心のケアをしていただきました。
子供が障害を抱えて産まれた為、現在も引き続きお世話になり続けています。
産後の里帰りが難しくなるのも高齢出産の特徴です。
最近では、産褥入院ができる施設が増えつつあります。是非ご活用されてください。
ただし、自費入院となるため高額になります。確定申告すると医療控除で戻ってきますのでお忘れなく!
【子供がいる幸せとは何か?】
人が誕生する。それだけで家庭の文化が全て覆される程、大きな変化が訪れます。
子供が健康であれば違う現実があった事でしょう。
しかし、子供が持病や障害(てんかん、喘息、外斜視、自閉症スペクトラム)を抱えていると、それらに取り組む事で日々精一杯というのが現状です。
『かわいい』と眺める余裕はありません。
日々黙々とトラブルに対応する中で、子供の成長に感謝するよう心がけています。
家族でそのイベント一つ一つに取り組み、しっかり味わうことで喜びに変えていかねばなりません。
80歳を過ぎた両親が、認知的な問題を抱え始めた頃に子供は産まれました。
子供がリハビリ役となり、両親が若返っていくという奇跡も訪れました。
市の保険師さんから言われた言葉が身に沁みます。
「お子さんの幸せを願う時、親が犠牲を払おうと考えがちです。しかし、親が幸せでなくてはお子さんも幸せではないんですよ。お父さん、お母さんが幸せである事が、お子さんにとって一番の幸せなのですから」
この言葉を礎に、これからも私達は様々なイベントを乗り越えていくことになるのでしょう。
【まとめ】
子供を諦めていた私としては、子供の無い余生しか考えていなかっただけに
『子供の誕生』は青天の霹靂といっても過言ではありませんでした。
よりによって、収入が危ぶまれるタイミングで敢えて私達の所へやって来た我が子。
何故そのタイミングで?…その答えは、終わりなき子育てのずっと先にあるのかもしれません。
もしくは、神秘のヴェールに包み隠されているのかもしれませんね。
高齢で出産するというリスク
・不妊
・ハイリスク
・子供の障害
・介護と同時進行
・金銭問題
大きく5つあると考えます。
これらの覚悟を持つというよりは、受け入れて対応する事を考えなければなりません。
前に述べましたように、覚悟はしきれるものではないからです。
高齢出産、負担が大きい事は明らかです。
お住まいの公共機関が大きな助けをしてくださっています。
いかに上手くお役所とお付き合いするか、是非ご活用して欲しいものです。
広報は必ず目を通しましょう! 見逃すと損をします。
私達夫婦は『子供がいない人生も豊か』である事を、子供が産まれてから知る事になりました。
「どうしても子供が欲しいなら、里子を育てよう」昔、そう夫婦で話し合った事もあります。
高齢出産という大きなイベントに際し『人を育てるというイベントに参加出来るかどうか』という観点で考えてみると取り組み方が変わってくるかもしれませんね。