みなさんは自閉症という言葉をご存知ですか?
この障がいに関する発達の遅れは1歳半の健康診断で指摘されることが多く、これをきっかけに自閉症について知るママさんも多くいます。
最近は自閉症を抱える青年という設定のキャラクターが、映画の主役のひとりになったりして注目されています。
ただ、現状はこの障がいについて世間的にはまだあまり知られておらず、心ない言葉や視線を感じることも少なくありません。
知ることで、当事者のかたや「子どもが自閉症かもしれない」と悩むママさん、この障がいのお子さんをもつご家族への情報提供の場になればと思います。
また理解を深めることでまわりにできるサポートについて考えていきたいと思います。
1歳半は「なにか違う」と気づく時期
わが子の成長で「あれ、なにか違う」「ほかの子とくらべて成長が遅いような気がする。。。」と気づきやすいのが、1歳~1歳半の時期です。
この時期の特徴は。。。
このように少しずつ大人と近い動きが増えてくる時期ですが、自閉症の場合これらの発達が遅れる傾向にあります。
また6ヵ月~1歳乳幼児健診を受けてから、次の1歳半健診までは少し間が空きます。
それまでは気にしていなかったママも久しぶりに受けた1歳半健診で発達の遅れを指摘され、初めて他の子との違いを意識するというケースも多いようです。
1歳半ごろに気づいた子どもの違い
過去にインターネットの質問サイトに投稿されたものをもとにママが「ちょっと違う」と感じた、子どもの行動について確認していきましょう。
1歳半になる娘がいるのですが、自閉症を疑っています。あまりにも自閉症の症状に当てはまっていて心配でなりません。
- 目を合わせようとしない
- 耳をふさぐことがある
- 突然かんしゃくを起こすことがある
- 〇〇はどれ?と聞いても指さししない。指を指した方向を見ることもない。
- 目をぎゅっとつぶることがある
- 人見知りが激しい
- 意味のある言葉がでない
- おもちゃをくるくる回したり投げたり、本来の遊びかたをしない
- 同じ行動を何度も繰り返す(エレベーターに何度も乗ろうとし、乗れなかったらかんしゃくを起す。長時間自転車のペダルを回し続ける)
- その場でぐるぐる回る、高いところにのぼる、ピョンピョン跳びはねる
- ひとのまねをしない、バイバイができない
- 手をつなぐのを嫌がる
- ママはどれ?と聞いても反応しない
- 子どもの広場に行ってもひとりで遊んでいることが多い
- つま先歩きをする
- おもちゃを私(母親)の手にもたせてくる
初めての子育てなのでわからないことばかりです。どうしたらいいかわかりません。ネットで調べては不安に押しつぶされそうになっています。
出典:Yahoo!知恵袋より
このお子さんは自閉症と診断されたわけではありません。
ただ自閉症の特徴が当てはまる部分がありますので、例にとって確認していきます。
1歳半ではまだ自閉症と判断されない
1歳半ころには違いを意識するようになるとお話ししました。
ただこの段階では基本的にまだ自閉症と診断されることはありません。
年齢が小さい子どもでは、自閉症のような反応を示すことはよくあります。
年を重ねたり適切な教育をうけることで急激に発達するお子さんも多いので、この年代での診断は専門家であっても難しいのです。
はっきりと診断がでるのは、早ければ3歳ごろからとなります。
1歳半くらいの子どもは日に日に変化し、成長します。
何か気になることがあったとしても、いつの間にかおさまっているということも少なくありません。
子どもは少なからず自閉的な行動をとる場合がありますし、自閉症と診断されていなくてもそのような傾向があるというグレーな状況の子もいます。
自閉症とは?
まず自閉症は2013年より自閉症スぺクトラムという名称に代わりました。
今まで独立したいくつかの障がいがありましたが、それぞれが明確に区別しにくく重なる部分も多いものでした。
このことから連続性という意味を持つ“スペクトラム”という言葉をつけ、自閉症スペクトラム(自閉症スペクトラム症/障害とよばれることもある)という診断名に統合されています。
今回は今までよく耳にしていた自閉症という呼び方で統一しています。
自閉症とひと口でいっても軽度~重度、知的な遅れの有無、言葉の遅れの有無などさまざまです。
自閉症の原因は?
間違った情報、流さないで。また親が当事者が責められる要因を作る。怒られて脳が萎縮してなる、後天的なものと先天的なものがある、食品添加物、もううんざり。取り上げてくれるなら教育評論家じゃなくてきちんとした専門家にお願いして下さい。発達障害は生まれ持った脳の機能障害です。#バイキング
— ひまわり (@himawaririri0) 2017年10月20日
自閉症の原因は先天的に脳に何らかの障がいが起ったものとされています。
ただ残念ながらはっきりとした原因はいまだに解明されておらず、まだわからない部分も多くあります。
自閉症について、はっきりとわかっているのは“心の病気”や“親の育てかたによるもの”ではないということです。
自閉症は後天的なものではありません。
まして“親の関わりかたが悪い”とか“しつけがなっていない”などということは決してないのです。
自閉症の特徴は?
自閉症のかたは
「他人とのコミュニケーションが困難~他人との社会的関係が築きにくい~」
「言葉の発達の遅れ~意思を伝達するスキルが発達しにくい~」
「特定のものへの強い執着~興味や関心が狭く特定のものにこだわる~」
という主に3つの特徴をもち、そこに「感覚過敏または鈍麻」という特徴も持ち合わせています。
さきほどのケースの娘さんの行動について自閉症の特徴に照らし合わせた場合、どこに当てはまるか分類してみました。
・ママはどれ?と聞いても反応しない ・おもちゃを私(母親)の手にもたせてくる(クレーン現象とよばれる) ・子どもの広場に行ってもひとりで遊んでいることが多い ・ひとのまねをしない バイバイができない ・人見知りが激しい ・目を合わせようとしない 自閉症をもつひとは自分以外のひとと対人関係を結ぶことが苦手です。それは親であってもです。 また言葉でない表現(アイコンタクト、身振り手振り、相手の表情など)を読み取るのが苦手です。 自閉症のひとにとって目をジッと見られることは怖いと感じたり、目の表情や顔の動きの方に集中しすぎてしまい、相手の話に集中できないことがあります。 このような行動は周囲のひとに理解されにくく“ひとの話を聞かないひと”“やる気がない”などの誤解の原因にもなります。
・突然かんしゃくを起こすことがある 自閉症をもつひとは言葉の発達や習得が遅れる傾向にあります。 自分の気に入った言葉を繰り返したり、相手が言った言葉をオウム返しする(エコラリア)などの行動がみられることも。 自分の気持ちを表現する道具を持ち合わせていないので、表現ができずもどかしい思いをしています。 突然のかんしゃくも自分の気持ちがうまく言葉や行動であらわせないことへのイラ立ちとも考えられます。 ・その場でぐるぐる回る、高いところにのぼる、ピョンピョン跳びはねる ・同じ行動を何度も繰り返す(エレベーターに何度も乗ろうとし、乗れなかったら癇癪を起す。自転車のペダルを回し続ける) 自閉症をもつひとは変化に極端に弱く“いつも同じ”ということを好みます。 同じことをずっと繰り返す(常同行動)という行動も特徴的です。 また特定のものに対するこだわりが強く、自分が関心のあることには大きくなると驚くほど詳しく膨大な知識を披露することがあります。 ・耳をふさぐことがある ・つま先歩きをする ・手をつなぐのを嫌がる
自閉症をもつひとは自分の体なのに自分の体でないような感覚があります。 また感覚が過敏だったり鈍感であったりもします。 自閉症をもつひとは私たちが普段、何気なく聞いたり感じたりしている感覚を次のように表現します。 ・ちょっとした音でも黒板の表面をひっかいたような音に聞こえる ・モスキート(蚊)音がずっと鳴っている ・つねに音の洪水を浴びているようなイメージ ・食べ物を噛む音が自分の頭のなかで響いてうるさい ・光が刺してくるようにまぶしく痛みを感じる ・光が粒や光線のように見える ・かすかな匂いも常に鼻先にかざされているように強い匂いに感じ気分が悪くなる こんな状態がずっと続いていたら。。。しかもそれが誰にも理解されないとしたら。。。 誰でも疲れるし苦しいし、イライラしてしまいますよね。 手をつなぐのを嫌がるのはママのことを嫌っているのではなく、肌の感覚が敏感すぎるためです。 耳をふさぐのは、音が大きすぎて防御している行動。 目をつぶるのも光がまぶしすぎるからと理解できます。 自閉症のひとにとって、私たちが生きている環境は目や耳からうける情報量がとても多く、うるさく感じるので疲れやすいようです。 感じている世界がわかれば、不思議に思われる行動も「当然だな」と理解することができるんですね。 1歳半では確定診断はできないと言いましたが、心配なことがある場合はぜひ早めに相談をしてほしいと思います。 自閉症に限らず、発達が遅れていると感じた場合は親子教室や療育センターなどの有効なサポートをうけることができます。 その子に合ったサポートを受けられれば子どもも親も安心感がもてます。 将来の社会生活で必要なスキルを早い段階で十分、身につけられ自立を目指すこともできます。 まずは児童相談所、保健センター、かかりつけ医に相談してみましょう。 そこから専門機関、専門医のいる機関を紹介してもらいます。 日本小児神経学会から小児神経専門医さらには発達障害診療医師の全国リストを作っています。 ぜひ参考にしてみてください。 自閉症をもつ子どもが安心できる関わりかたをいくつか紹介します。 子どもとの接し方で重要なのは、本人が自尊心や自己肯定感をもてることです。 「自分はここにいていいんだ」 「必要とされている」と感じ 「自分を好き」になれること が、生きる糧につながります。 これは自閉症に限らず子育てには重要な要素になりますね。 「療育(ソーシャルスキルトレーニング:SST)」とは障がいのある子どもたちに、社会的に自立できるような治療と教育を提供することです。 自閉症をもつ子どもに対し、長期にわたって専門的な教育的アプローチを行うことで、ひとりでも社会に出ていけるスキルを身につけさせる場となります。 療育を早期(幼児期や小学校低学年)から始めることで、成人してから社会に問題なく適応していける能力をつけることができたという研究もあります。 子どもの集まる場所や公共の場で「あれ?」と思う行動をするお子さんをみかけることがあると思います。 そんな時私たちはどのように見守りサポートすればいいでしょうか。 一見困った行動に見えても、その子にはその子なりの理由があります。 その子自身にも止められない行動でもあるのです。 「親はどんな教育しているの!?」などと冷たい目線を投げかけるのはやめましょう。 昔お店で初対面の年配の女性に「お子さん可愛いね。ママも頑張っているね」と言われたことがあります。 娘がうまれてまだ間もない不安なころだったので、私はこの一言にどれほど救われたか。 「大変だね」「辛いね」と共感してもらうのもありがたいんですけど。 それよりも私は「頑張ってるね」とか「可愛いね」とか、子どもの機嫌が悪そうなときは「あらあらどうしたの~?」って温かく声をかけてもらえると、とても安心できます。 あえて声をかけなくても「ママさん頑張ってる!」って見守ってもらえるだけで、その視線が冷たいものか温かいものか何となくわかるんですよね。 もし子育て広場などでそのような親子に会った時は、わざわざ「悩み聞くよ!」って前のめりに相談に乗ろうとしなくてもいいです。 ただそのママさんがポツリポツリと話しをされたら、ゆっくりと話を聞いてあげてほしいと思います。 ひとは悩みや思いを言葉に出すことで、心が軽くなったり自分で答えを導き出すことができたりします。 さきほどもお話したように自閉症は育てかたや環境、親の関わりかたによるものではありません。 「育て方かえたら」などの安易なアドバイスは親子の心を傷つけることになります。 子どもは正直ですし、ときに残酷な言い方をすることもあります。 そんな時「そんなこと言っちゃダメ!」と頭ごなしに叱っても子どもは納得しません。 もし私が娘に障がいをもつひとのことを聞かれたら 「ママと〇〇ちゃんも顔や声が少しずつ違うでしょ。それと同じように世界にはいろんなひとがいて、それぞれに違うところがある。みんな同じだったら誰がだれだかわからなくなっちゃうよ。みんな違ってそれぞれにみんな良さがあるんだよ」 と話すかなと思います。 みなさんも自分ならどう伝えるか、ぜひ一度考えてみてください。 自閉症をもつ子どもに寄り添うために、とても参考になる本をご紹介します。 この本は13歳の東田直樹さんが自閉症の当事者として素直に自分の気持ちを表現し、58の質問に答えた本です。 世界で初めて重度の自閉症である少年が自分の心や思いを語った本として出版されました。 今まで理解されにくかった自閉症をもつ子どもの行動と、その理由やどういうことに困っているのか、どういう思いで日々を過ごしているのかなどについて記されています。 この本は世界中で翻訳され、これまでなかなか子どもの思いを理解できなかった自閉症の子どもをもつ多くの親に読まれています。 子どもの心の中が理解できた 子どもが見る世界を一緒に見られるようになった 子どもの愛情を感じることができた と感動をよんでいます。東田さんはいま、プロの作家として活躍されています。 少しだけ、私の大好きな甥の話をさせてください。 実は私の甥(小学校低学年)は小さいころから療育センターに通っていて、小学校は支援学級に入っています。 はっきりと何らかの障がいと診断されたわけではありませんが、言葉のボキャブラリーが少なく一度にたくさんのことを言われると理解できない傾向があります。 先日姉(甥の母)と会った時とても嬉しい報告がありました。 小学校の支援学級は2年ごとに知能検査をするらしいのですが、結果は実年齢より2年程度の遅れがあるというもの。 ただ専門家の意見が聞けたことで親である姉やその旦那さんの考え方と行動にあきらかな変化があったというのです。 いままでは「なんでできないの?」「なにが言いたいの?」と叱ったりイライラすることが多かったと。 いまいち甥のことを理解できていない感覚もあったということでした。 でもどういうところが苦手なのか、反対にどういうところが得意で伸ばしていけばいいのか、専門の先生から教えてもらえたことで、ようやく甥のことがわかってきたと言うんです。 それからは甥の良いところに注目するようにして、甥のもっている素晴らしい部分を伸ばしていこうと思えたそうです。 両親の変化に伴って、甥自身にも変化が出てきました。 それはスキンシップが増えたこと。 パパは甥にしっかりしてほしいという思いが強すぎたせいで、とくに叱ったり小言を言うことが多かったそうです。 そのため甥はパパと接するときは遠慮がちで、抱っこなどのふれあいも少なかったようです。 そんなパパが甥の良いところを伸ばすようなになったことで、親子の触れ合いやスキンシップも増えたということです。 甥は自閉症と診断されたわけではありませんが、甥の話を聞いて思ったことがあります。 自閉症は後天的な障がいではありません。 ただ生まれてからの親の関わりかたによって、社会で安心して生きていけるか、自分のことを好きになれるかは左右されるのかなとも感じました。 姉から「悩んでいるひとの助けになるなら」ということで、少しだけ甥の話をさせていただきました。 支援学級に通う1年生のゼン(長男)と保育所年少のカイ(次男)と保育所1歳児のリリ(末娘)。娘以外は診断済。娘はグレー。みんな多動。私もADHD傾向あり。キャラが濃すぎる三兄弟と家族の穏やかに1日が始まれるように、終われるように模索しながらのバタバタな日常。 — ひまわり (@himawaririri0) 2017年5月24日 さて今回は自閉症についてまとめてきました。 いまの世の中は障がいがあるというだけで、まず何より「障がいをもつ子」というレッテルを貼られてしまいます。 ただ自閉症である前に、その子にはちゃんとした名前があって、ひとりひとり大切な存在なのです。 自閉症であった場合、確かに大変なことは多いでしょう。 だからと言って不幸ではありません。 一見他人に無関心で母親のあなたでさえも拒絶しているように思えるかもしれません。 でもそれはただ表現ができないだけ、表現する術をもっていないだけなんです。 自閉症の彼らはとても深い愛情や感情をもっています。 自閉症といっても十人十色。 いろいろなこだわりを持っていたり、特徴の違いがありみんなそれぞれに違いがあります。 世の中に同じひとなんてひとりもいません。“みんな違ってみんなイイ!” 自閉症について、まずは知ることから始めてみませんか?心配なときは早めに相談をしましょう
どこに相談する?
自閉症をもつ子どもへのサポート
療育という考え方
まわりの人たちにできること
本の紹介
さいごに
まとめ
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