- 母乳が思うように出ないので、授乳前に搾乳しておきたい
- 母乳が出すぎてもったいないので、搾乳しておきたい
- 外出した時に飲ませたいので、母乳を常温で持ち歩きたい
母乳育児を進めていく中で、こんな思いをしたことはありませんか?ミルクなら、お湯と粉ミルクがあれば時間や場所を選ばずに与えられますが、搾乳した母乳ってどうなのでしょう。
長期保存ではなく、あくまで数時間…母乳育児をするママさんの参考になれば嬉しいです。
母乳は常温保存できるのか
冷凍するまでではなく、ほんの数時間後に搾乳した母乳を与えることができたら…そんな望みを抱くこともあるかと思います。
そもそも母乳は常温での保存が可能なのでしょうか。
搾乳母乳を哺乳瓶で飲ませるスタイルでいくとして、これって退院後に診察とかで出掛ける時はどうすれば良いの???
母乳って常温ダメだったような?んんんん????#NICU #卒業 #母子同室入院中 #妹ちゃん— 鴨@5才&7m(修正4m)? (@kamotoyou) 2017年11月16日
でも搾乳してから直母の方が息子も飲みやすそうだし、たった6分くらい泣かせておいて絞るべきかなぁ。
ちなみに搾乳した母乳は常温だと30分以内に飲ませないといけないとか。
冷蔵庫入れとけば1日、冷凍庫なら1週間?だったかな。— RIN (@RIN7) 2017年9月11日
2時間以上常温保管できる母乳ってすごいのね。
— あ~ちゃん (@Amama0706) 2017年5月7日
いくつかの視点から、常温保存の向き不向きについて見てみたいと思います。
さまざまな意見がある
実は、母乳の常温保存については意見がさまざまなんです。
数時間以内なら問題がないという意見もあれば、気温や保存方法によって大きく違うという意見、また、すぐに細菌が繁殖してしまうから常温は不向きとする意見もあり、どれも正しいように思えます。
まずは母乳に含まれる成分とその殺菌力について見てみたいと思います。
母乳に含まれる殺菌成分について
母乳は血液から生成されています。
そのため、ママから作られた母乳の中には血液中に存在する白血球による殺菌作用が引き継がれているんです!
中でも、好中球やマクロファージといった白血球の一種は、細菌などを捕食する掃除屋さんの働きをします。
そのため、搾乳された母乳は特定の条件下では、細菌の繁殖が防がれているというのだから驚きです。
母乳の殺菌作用が働く条件
もちろん、ただ搾乳すればよいというものではありません。殺菌作用がしっかりと効果を発揮できるのは次の条件を満たした場合です。
- 搾乳は手ではなく殺菌・消毒された搾乳機を使用する
- 搾乳後の母乳は専用の母乳パックなど清潔なものに入れる
- 常温の条件は気温が20~24度で湿度が50%程度の状態
上記の条件を満たした場合は、搾乳した母乳でも常温保存が2~3時間可能だと、周産期学が発行している冊子にも記されているのです。
もしも母乳を常温に置くなら
上記で述べたように、常温の条件には温度や湿度が関係してきます。特に暑すぎる夏場や、直射日光が当たるような場所では常温保存はできません。
今すぐは飲ませないけれど、2~3時間後の授乳時に与えたい
などの場合は、常温の条件に適した環境であるかを確認しましょう。
そうでない場合は直ちに冷蔵し、必要な時に湯煎をして温めたものを与えるようにしてくださいね。
外出時のために母乳を持ち歩きたいなら
搾乳したものを外に持ち出したいという場合は、さらに気をつけなければなりません。
まずは外気温。常温の条件に満たない夏や冬には、搾乳した母乳を持ち歩くのは危険です。
春や秋で湿度も高すぎない日には、2~3時間であれば持ち歩くことも可能ではあります。
次に気をつけたいのが、持ち歩き方。哺乳瓶に入れての持ち歩きは避けましょう。
いくら母乳の殺菌作用が高いとはいえ、やはり母乳パックに入れて持ち歩き、与える時に哺乳瓶に移すようにするのが安全です。
もし、搾乳した母乳を飲み残した場合には、全て破棄するようにします。
一度口にしたものは、細菌が増殖する一方です。決して飲み残しを与えることはしないようにしましょう。
母乳の理想的な保存方法
搾乳した母乳を保存する場合、やはり理想的なのは冷蔵か冷凍です。
その際にも気をつけたい点や保存に適した日数などがありますので、確認しておきましょう!
冷蔵の場合
冷蔵(4℃)保存をする場合は、48時間以内、つまり搾乳から2日以内であれば保存可能です。
ただし、搾乳機や母乳パックを使用することをお忘れなく!赤ちゃんに与える際は哺乳瓶に移し入れ、湯煎で人肌程度に温めましょう。
冷凍の場合
冷凍(-20℃)の場合、他の食品との接触のない独立した冷凍庫を使用した場合で、1か月程は保存が可能であると言われています。
しかし実際にはそのような環境での保存は難しいですよね。他の食品との接触やドアの開け閉めも考慮すると、1週間程度が限度であると言えます。
赤ちゃんに与える際は、冷蔵保存と同様に湯煎をしてから与えます。解凍後は24時間以内に使用しましょう。
まとめ
母乳に含まれる殺菌作用が働くので、条件が揃っていれば常温での保存も可能です。
とはいえ、うっかり長時間そのままにしてしまったり、搾乳時に母乳に触れてしまったりすることも考えられます。母乳の殺菌作用にだけ頼ってしまうのは危険。搾乳した母乳を常温で保存・持ち歩きをしたいなら
- 常温保存の条件をしっかりと守る
- 2~3時間で使い切る
- 飲み残しは破棄する
など、留意点をしっかりと意識しましょう。
面倒かもしれませんが、一番安全なのは、やはり冷凍保存です。
母乳育児と上手に付き合っていくためにも、搾乳した母乳の管理はしっかりとしておきたいものですね。