よく「母乳はだんだん栄養がなくなる」「ただ口が寂しくて飲んでいるだけで、栄養はないの」という言葉を聞きますが、母乳の栄養って本当になくなってくのでしょうか。
母乳育児をしていると、栄養面や免疫面での母乳の役割、気になりますよね。
特に離乳食が進んでいくにつれ、母乳の存在や役割が小さくなっていく気がしてしまいます。離乳食が始まったら母乳は意味がないの?1歳を越えたら断乳を進めるべきなの?
いえいえ、母乳は実はとっても優秀なんですよ。
母乳育児中のママたちに、ぜひ知っておいてもらいたい母乳についての情報です。
母乳の特徴
発達に合わせて変化していく
母乳の最大で最強の特徴、それは、赤ちゃんの発達段階に合わせて変化するということです。
え?母乳って変化するの?そう思いますよね。
赤ちゃんは月齢が進むにつれて、外の世界に適合するために強くたくましくなっていき、その発達状況によって、必要とする栄養分や免疫力が変わるのは想像できることと思います。実は、その必要性に合わせて、母乳も成分を少しずつ変化させるんです。
また、どの段階の母乳を見ても、赤ちゃんの身体を健康に保つための栄養素やビタミン、ミネラル、たんぱく質、そして免疫物質が適切に与えられるようになっています。
ここが、機械ではなく人間が成し得る神秘なのですね。
赤ちゃんを守る栄養、免疫
母乳はママの血液から生成されます。
母乳育児をするママは食事内容にもある程度気を配るように言われるのはそのためですね。ママの血液から作られるということは、栄養分はもちろん、免疫物質についてもママから子へ、母乳を通じて与えてられているんです。
授乳期の食事で気をつけることはこの記事を読んでくださいね!
”https://fun-mom.com/childcare/7729/″
母乳は変化をすると言いましたが、それは、栄養がなくなっていくということではありません。ママの血液が素になっているのに、栄養・免疫物質がないものなんて作られるはずがないんですね。
間違えやすいですが、母乳の栄養がなくなるのではなく、母乳の栄養分だけでは足りない成長段階がやってくる、ということなんです。
また、初乳に含まれる免疫の効果は6ヶ月と言われているのも、それはだんだんと赤ちゃんが免疫を得て自分自身で身を守れるようになっていくという意味で、母乳の抗体がなくなるわけではありません。
なので、もちろん母乳を飲んでいれば、1歳であろうと2歳であろうと、母乳が供給できるだけの栄養や免疫物質をきちんと与えることができるんです。
ミルクにも栄養分や免疫物質がきちんと含まれているのですが、母乳と違って、赤ちゃんに合わせた変化はしないので、与えるべき分量が決まっているのですね。
消化しやすい
母乳にはたんぱく質が含まれますが、このたんぱく質は消化に優れており、赤ちゃんの未熟な消化器官にも負担をかけません。
消化が良いので、母乳の赤ちゃんは頻繁にお腹が空いたと泣きますね。
そのため、頻回授乳がママの負担になることもありますが、ミルクに比べ母乳の場合は与える量に制限がないのはこのためでもあります。
満腹感が得られる
消化は良いですが、きちんと満腹感も得られるようになっています。
母乳の仕組みとして、飲み始めは薄味で飲みやすく、飲み続けるほど濃くなり脂肪分も豊富になってゆくので、一度の授乳でしっかりと満腹感を味わうことができています。
母乳が足りないのでは?と不安になるママもいるようですが、体重の増加が見られる(目安は一日10g~30g)、便や尿がきちんと出ているということが確認できれば、心配はありません。
母乳のあげ方で悩んでいる方にはそのコツをこちらの記事で詳しく説明しています!
”https://fun-mom.com/childcare/7962/″
母乳の変化
母乳は変化すると言いましたが、どのように変化していくのか、具体的に見てみましょう。
初乳
赤ちゃんが生まれたら、少しずつ母乳の分泌も始まります。
当然ですが、生まれたばかりの赤ちゃんは、外の世界に適応するための免疫や抗体をもち合わせていません。そのため、生まれてすぐに飲む母乳には、栄養分と免疫物質が特に豊富に含まれているんです。
この産後1~2週間の間に出る母乳を初乳といいます。色は少し黄色がかっており、量もわずかしか出ないのが特徴です。
生乳
産後数週後には、母乳の色はだんだん白みがかってきます。
このころの母乳を生乳といい、乳糖が少な目だった初乳に変わり、筋肉や身体を発達させるために必要なタンパク質や脳の発達に必要な乳糖が多くなっていきます。
もちろんママの血液に含まれる白血球や抗体が母乳に含まれるので、免疫物質は変わらず与えられているんです。
母乳の成分
こうしてみていくと、どの段階の母乳にも栄養分と免疫物質が含まれていて、違いはその割合だけだということがわかります。赤ちゃんの発達に応じて成分の割合を調節していく母乳、本当に神秘的ですね。
次の動画で、母乳の役割がいかに大きいかがわかると思います。
身体の成長にとどまらず、脳の成長にも、母乳は大きな役割を果たしているのです。
母乳はいつまで与えるべきか
母乳育児をしていると、必ず訪れる卒乳、断乳の時期。
授乳回数が徐々に減り、赤ちゃんが自ら離乳していくことを卒乳、ママ側が意識的に離乳を進めることを断乳と言います。
厚生労働省では、離乳の開始はほぼ5ヶ月頃、離乳の完了の時期は遅くとも18ヶ月ころまでには完了するとの見解を示しています。
かつては生後9ヶ月から1才頃に断乳の指導をすることが多かったようですが、今は母乳育児の栄養面だけでない重要な役割が重視されるようになり、離乳についても意識が変わってきています。
それは心理学的な要素、つまり、赤ちゃんの精神を安定させるという面です。
保育園に通わせる、2人目がほしい、乳腺炎が辛い…いろいろな理由で断乳を考える方が多いと思いますが、おっぱいを飲むという行為が赤ちゃんにとっても心や気持ちが落ち着く重要な時間であるということも理解しておくと、赤ちゃんのケアもしやすいかもしれません。
ちなみに、ユニセフ/WHOでは栄養面、精神面ともに鑑み、母乳育児は短くとも2才までは続けられるべきだと述べています。
母乳の栄養はいつまでも変わらない
母乳の栄養はいつまでも変わらず赤ちゃんに与えられ続けます。
それは、母乳がママの血液から作られるためであり、栄養や免疫物質のない母乳なんてないのです。
赤ちゃんの成長に合わせて必要な成分を調整してくれる母乳って、とっても優秀だと思いませんか?
あなたが今、栄養面だけで断乳を考えているのであれば、そこは心配がないということを理解してほしいと思います。ママの母乳のおかげで強い身体や脳をつくる基盤がつくられているんです!安心して与えてあげましょう。
その他の理由で断乳をしなければならない方も、これまで授乳を続けてきた自分と多大な役割をこなしてくれたおっぱいに「ありがとう、お疲れ様」と言ってあげて下さいね。