母乳はミルクに比べ消化がいいと言われてきました。
そのため、赤ちゃんが欲しがるだけ与えましょう、という頻回授乳という考えが主流になり、赤ちゃんが泣いたらまずはおっぱいと考えるママも少なくないように感じます。
しかし最近では、母乳の場合でも“あげすぎ”を指摘されることが多くなってきているようです。
本当に母乳は好きなだけ与えても問題ないのでしょうか?
どちらが本当なのでしょう?あなたのギモンに迫ります!
結局…母乳ってあげすぎは問題なの?
母乳は消化が良くミルクよりもカロリーが低いため、赤ちゃんが欲しがるだけ与えて構わないという考えがこれまでの主流でした。
しかし、さまざまな研究が続けられている結果、近年は『母乳でもあげすぎることによる弊害が指摘されるようになった』んです。
特に頻回授乳が勧められるようになってからは、「泣く=おっぱいが欲しい」という固定概念が強くなったとも言われています。
赤ちゃんが泣く度に「お腹が空いているのかも」と授乳をしてしまうと、満腹中枢の未発達な赤ちゃんは与えられるだけ飲んでしまうことも。
どのような問題があるのか詳しくみていきますね!!
母乳をあげすぎたらどうなるの?
母乳をあげすぎることで身体に大きな害を与えることはありませんが、
- あかちゃんが不機嫌になる
- 便秘を引き起こしてしまう
などの可能性があります。
太りやすい体質になるかどうかについては、まだ明確な研究結果がないようです。
ではその「あげすぎ」をどうやって見極めればいいのか知りたくなりますよね?
母乳のあげすぎだと言われる5つの症状
母乳のあげすぎと言われるのはどのような状態なのでしょうか。
生後1か月頃から以下のような様子が見られる場合、母乳のあげすぎを指摘されるかもしれません。
■太る、肉付きが良くなる
まずはやはり見た目と体重による判断です。
まるまると太っていたり、平均体重を上回る成長をしている場合は、母乳のあげ方(授乳回数やママの食事内容など)を指摘されることがあるかもしれません。
しかし先ほども言いましたが、母乳をあげすぎることで太りやすい体質になるかどうかというのはまだ研究段階です。
このころの赤ちゃんは、どんなにまるまるしていても、離乳食が始まったり運動量が増えたりすることで体型も変わります。
あくまでも「母乳のあげすぎ」を指摘される可能性があるだけだということをご理解くださいね。
■母乳を頻繁に吐く、大量に吐き戻す
胃の構造から見ても赤ちゃんは吐き戻しやすいのです。
でも授乳の度に吐き戻しがあったり、その量が多かったりする場合は、赤ちゃんの胃のキャパシティを越えた授乳量が疑われます。
この状態が続くと赤ちゃんは常にパンパンな胃に不快を覚え、不機嫌になることが増えることも。
■常にお腹がパンパンに張っている
上記のように毎回胃のキャパシティを越える授乳量がある場合、常にお腹が膨れ上がった状態になります。
私は息子をお風呂に入れる際、パンパンに張ったお腹に気づき驚いた記憶があります。
↑パンパンに張った息子のお腹。服を脱がせて初めて気が付きました…
■ゲップやおならが多い、よく気張る
おならをよく出す子、そうでない子と個性があるものです。
ゲップ・いきむ・気張るなどが多く、そのたびにおならを出しているようであれば、お腹の張りで苦しんでいる可能性もあります。
母乳のあげすぎを指摘されるかもしれません。
■便秘、変色など、便に変化
赤ちゃんの便は基本的に水っぽく、黄色~おうど色をしています。
白っぽくなるなどの変色が見られる場合や臭いがいつもと違うという場合は、母乳量が多すぎて消化活動がうまく行われていない可能性があります。
うんちは健康状態を測るバロメーター。異変に気づいたら、かかりつけの小児科を受診してみましょう。
こんな時”も”母乳のあげすぎに気をつけよう!
頻回授乳 が母乳のあげすぎにつながることもありますが、次のような場合にも赤ちゃんのキャパシティを越えた授乳量となっている可能性があります。
母乳過多で必要以上の母乳が分泌される
赤ちゃんが欲しがる量を越えた母乳の生成が行われてしまう状態です。
ちょっと優秀過ぎるおっぱいの場合、満腹中枢が未発達な乳幼児は与えられるだけ飲んでしまいます。その結果、母乳を飲みすぎてしまうことになるのです。
対策はやはり、授乳の間隔をしっかり空けること。
1~2時間での授乳をしている場合は3時間ほど空けるようにしてみましょう。母乳の生成量も落ち着いてくるはずです。
過飲症候群の症状がある
これはまさに、必要以上の母乳を赤ちゃんが飲んでいる状態です。
生後3ヶ月くらいまで赤ちゃんは満腹中枢が未発達。自分で「お腹いっぱいだからもういらな~い」とは判断できずに飲み続けてしまいます。
次のチェック項目に3つ以上当てはまるようでしたら、母乳の飲みすぎ、つまり過飲症候群の疑いがあります。
- 1日に50g/日以上の体重増加が見られる
- 吐き戻しが多い・大量
- いきむ・気張ることが多い
- ゼコゼコとした呼吸や鼻閉
- お腹がパンパンに張っている
- 呼吸が早い、喉の下や胸がへこむ陥没呼吸
- 便秘や頻回のジュルジュルした便が続く
- 体を反り返す
過飲症候群が疑われるときは、
縦抱きにして胃腸をスッキリさせてあげる
など、おっぱい以外の方法で向き合う時間を増やしてみて下さい。
空腹で泣く場合は何をしても治まりませんが、不機嫌なだけであれば向き合い方を変えるだけで泣き止んでくれますよ。
母乳のあげすぎを疑う前に知っておきたいコト
母乳のあげすぎについて考える際に知っておくとよいことがいくつかあります。
次に挙げる赤ちゃんの身体の基本構造を頭の片隅に置いておくといいと思います。
満腹中枢
満腹中枢が発達するのは、生後4か月くらいからと言われています。
そのため新生児~生後3か月くらいまでは、お腹がいっぱいかどうかに関わらず、口元に乳首を感じれば吸いついておっぱいを飲む赤ちゃんがほとんど。
これを吸啜反射といいます。赤ちゃんが持って生まれた本能の一つで、満腹中枢が発達するに従いなくなっていく反応です。
与えるだけ飲んでしまう子は、この吸啜反射によるものかもしれません。本当にお腹が空いているのか見極めることも大切ですね。
胃の形
10か月の妊娠期間を経て誕生する赤ちゃん、内臓機能は未発達の状態で生まれてきます。
胃の形は、食道と胃のつなぎ目(噴門部)がゆるく縦長な形状をしています。
また、胃を支えるじん帯もゆるい状態なので、胃自体が大人と比べるととても不安定な状態となっています。
授乳後の吐き戻しが多く見られるのは、この胃の形のせいでもあります。吐き戻しがあるからと言って、すぐに授乳量を減らすことはやめましょう。
平均的な1日の授乳量
あくまでも平均ですが、月齢別の1日の授乳量は以下の通りです。
生後1か月 |
840ml |
生後2か月 |
960ml |
生後3か月 |
900~1100ml |
生後4か月 |
1000~1100ml |
これ以上を飲んでいて、さらに過飲症候群の症状がいくつか見られる場合は母乳のあげすぎが疑われます。
母乳だけじゃない!いろいろ変わる育児の基本
母乳も含め、私も1人目と2人目で育児の基本がかわっていることがいくつもあり驚きました。
例えば沐浴。長男の時は石鹸で洗うのは身体だけで顔はガーゼで拭き取る程度でよい。保湿はしなくても十分。と言われていました。しかし長女の時には、顔も石鹸で洗い、しっかり保湿をする。と、指導されたんです。
つまり、育児の基本はいろいろ変化をしているということです。
前はこうだったのに
あの時はこう言われたのに
など、過去の経験とは異なる指導を受けることもあるかと思います。
いろいろと研究が進むことで明確になる事もあるのでしょう。過去の指導にこだわりすぎないことも大切なんですね。
育児書はあくまで参考!赤ちゃんをよく見ながら調節を
育児は育児書の通りにはいかないもの。
母乳の飲みすぎだからと、急に授乳時間を短くしたり間隔を空けたりしても、赤ちゃんにとってはストレスになってしまうかもしれません。
スキンシップを増やしてあげる、身体遊びをしてあげるなど、これまでとは違う向き合い方をすることで、授乳間隔も長くなってくるかもしれません。
また、例え過飲症候群のチェック項目に当てはまっていても、必ずしも母乳の飲みすぎだとも言えません。その子その子で体質が違うからです。
育児で大切なのは育児書にある言葉ではなく、自分の子の様子を観察し、状態を知ることです。
いろいろな情報が溢れている現代だからこそ、しっかりと赤ちゃんの様子を見てあげたいですね。