子供が自閉症スペクトラムと診断…療育申請手順やケア・対応とは?

マタママ

娘が自閉症スペクトラムと診断されたのは5歳の時。

WISC-Ⅳ検査を受けた時の事でした。

知的障害を伴わなかったものの、コミュニケーションが不得意であり、こだわりの強さもみられ、生活に支障を来たし始めていました。

もし子供が自閉症スペクトラムと診断されてしまったら…残念ながら治す事は出来ません。

しかし、早期発見により訓練を積んで生活の質を上げていく事が可能です。

ここでは娘を例に挙げ、SST=ソーシャルスキルトレーニング=社会生活技能訓練(療育と呼ばれる事が多いです)の通所手続き方法や生活面でのフォローについて書き進めたいと思います。

療育を受ける為には

SST=ソーシャルスキルトレーニング(療育)とは

障害を持つ子供が社会的に自立すべくトレーニングを行う事です。

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発達支援を専門にしている施設、または療育部門を併設している病院などに医師からの紹介状や意見書を提示して申し込みます。

発達障害に対する関心が高まり、診断もつきやすくなった事から、外来に加え療育部門もかなり混み合っているのが現状です。

就学を控えた娘の場合、出来るだけ入学前に療育を始めた方が良いと促されました。

学校という大きな社会に出て行く前にトレーニングを積んでおく事で、学校生活を円滑にする狙いがあります。

療育へ通所するまでの道のり

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娘の場合、かかりつけである総合病院の療育部門に空きがなく、キャンセル待ち状態が長く続いていました。

宛てもなく困った私達は、地域の子育て支援センターに相談。療育を得意とする大手の民間事業者さんを紹介してもらいました。

しかし、問い合わせをしたところいっぱいで、1~2年も待つということでした。

こんなにも待つのには理由があります。

発達障害とわかった場合、地域の福祉課で“通所受給者証”というものが貰えます。

これがある事により、民間の療育で費用の免除(世帯の収入により負担上限額が異なります)がなされます。この制度を利用する枠がいっぱいという状況なのです。

この数年待ち、自費で療育をされる場合ならば空きがあるというのが現状です。

病院に併設された療育の場合、医療証により実質無料となります。

また、キャンセル待ちの順番は重症度により決まります。

娘の場合、知的に問題がなかった為、半年以上は待つだろうと言われていました。

就学前には療育を受けさせたいと焦っていましたが、ある民間の事業者さんが新しく支店を出されるタイミングと重なり、運良くエントリーすることができました。

療育先が見つからない時は、自治体の子育て支援を担う担当部署に相談する事をお勧めします。

病院やクリニックよりも情報をお持ちだという印象がありました。

通所受給者証の手続き

通所申請の流れ

※各自治体により異なる場合がございます。

自治体(福祉課)へ通所受給者証の申請

まず、療育の行き先が決まったら地域の障害福祉課(地域によっては名称が異なります)に行き、申請をします。→役所にて認定が行われます。

その際、“計画相談支援事業所”選びを行います。

これは療育に必要な“サービス等利用計画案”を作成してくれる事業所であり、地域の福祉課より紹介され選ぶ事が出来ます。

療育先の方で、ここを利用した方が良いというアドバイスを戴く場合もあります。

計画相談支援事業所で計画案の作成依頼

希望する計画相談支援事業所へ「新規計画書の作成」を依頼します。

計画相談支援事業所が決まったら、面接日を決めます。

面接は役所と計画相談支援事業所と子供本人、その親を交えたものです。この話し合いによりサービス等利用計画案が作成される事になります。

書面が出来上がり次第また面談を行い(計画相談支援事業所と親のみ)、今後の療育プランに対する確認を行います。

自治体(福祉課)へ計画案の提出

サービス等利用計画案に問題がなければ、主治医の意見書と共に福祉課へ提出します。暫くして郵送で通所受給者証が送られてきます。

ここまでの道のりは、最短で約1ヶ月と言われています。

病院以外で療育の行き先が決まったら、早めに申請を行いましょう。

また、受給者証は定期的に更新しなければなりません(更新日は受給者証に記載)。

更新を機に、今後療育の必要性がどの程度あるのかなど確認が行われます。

療育、園や家庭におけるフォロー

療育に通い始めて

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自閉症スペクトラムと診断されてから7ヶ月が経ち、やっと通所出来るまでになりました。

週1回、1時間使ってトレーニングをします。たった1時間とは言え、5つ程のカリキュラムをこなしています。

WISC検査で問われる部分、言語理解、知覚推理、記憶、処理速度を一通りトレーニングするようなイメージです。

内容は楽しげで、和気あいあいと取り組む様が見てとれます。

最初は固定の先生がつくのではなく、一通りの先生にマンツーマンで習いながら相性の確認をしている様子です。

新しい先生との出会いにより、都度自己表現をしなければならない経験を積みました。

まだ通い始めて1ヶ月少しではありますが、様々な経験を通して身に付いたスキルがあるように感じられます。

娘が園で自発的に意見を述べられるようになって来たそうです。

療育では、子供の得意不得意をみつけながら、どの部分でつまずいているのかを確認し、カリキュラムを通して不得意部分のトレーニングを積んでいきます。

先生とのコミュケーションが慣れたところで、集団トレーニングも行われる予定です。

家庭や幼稚園、保育園でのケアについて

早く療育先を見つける事は大切ではありますが、普段生活している環境においてケアをする事も大切になります。

保育園の場合、発達障害とわかったら診療情報提供書を提出することにより加配(担任を増やす・加配保育士)制度があります。

幼稚園によって対応は異なると思われますが、診断が出た場合は早く先生にお伝えましょう。

場合によっては主治医の意見書や診療情報提供書を提出し理解を深めていただく必要があるでしょう。

娘の場合、過緊張や聴覚過敏(トイレの音が嫌いで流せない、運動会のピストルの音が無理など)、また注意欠陥もみられるため、園でフォローしていただくようお願いをしています。

例えば、運動会の合図はピストルではなく笛に変えていただいています。自分から声をかける事が出来ないため先生から投げかけをしていただくなどの措置もとられています。

特に聴覚過敏などの感覚過敏に対しては、努力して慣れるものではないため、周囲の理解を得る事が大切となります。

例えば、ガラスがキーッと鳴る音を努力して聞いても好きにはなれない事と同じなのです。

また注意欠陥がある場合、他の事に気を取られ次に何をすべきかが解らなくなってしまいます。

次はなにする?

言葉で理解出来ても行動に移しにくい特性がある為、スケジュールを絵にして見せるなどの工夫が療育や園でも試みられています。

そのことを家庭でも実践し、気長に取り組む必要があります。

障害を抱えた子供は、家から離れると一生懸命取り組んで帰ってきます。

故に疲れて帰り、家ではハチャメチャになりがちです。それに振り回されてしまうと生活が進まず家族皆が疲れてしまいます。

子供は外で頑張っているという自覚を家族で共有し、出来るところから一つずつ取り組むよう指導されました。

こうした積み重ねにより生活の質が改善される事を目指していきます。

そして、行き詰まった時には療育先や地域の子育て支援部門が頼りになります。

さまざまなアイデアを戴きながら、私達は取り組み続けています。

まとめ

娘が自閉症スペクトラムと診断されて、失望している暇はありませんでした。

紹介状を貰い、受診のための問診票を幾つ書いたか数えきれません。

さらには療育探しに明け暮れ、たくさんの面談をこなしてきました。

どんなに頑張っても「自閉症は環境や育て方の問題だ」と人に言われ傷つく事も多々あります。

それでも、少しずつ取り組みを続けるしかないのが現状です。

最近では、発達障害について特集が組まれる等、各メディアでも取り上げられ認知されるようになってきました。

しかし、症状の見えない発達障害。多岐にわたる症状を理解し対応する事は難しいものです。

これからも障害について更なる投げかけや理解が深まり、療育の場が増えます事を願って止みません。