妊娠中は免疫が低下しがちなので、風邪をひかないように気をつけたいですね。
もしひいてしまったときは、処方薬で長引かせないことも大事です。
良く耳にするのは、「安心感のある漢方薬を飲めば良いんじゃない?」…って、実は、妊婦さんは飲んじゃダメな場合があるようです。
妊婦さんの風邪治療と葛根湯・漢方の常識を調べて見ました。
葛根湯にまかさかの妊婦禁忌成分が?!
「漢方薬=副作用が出にくく妊婦でも安心」だなんて思ってませんか?
漢方を扱う薬局さんがツイートしてるって、ホントはやめておいた方が良いのではないかということ。
葛根湯の成分と、妊婦さんについてまとめてみます。
葛根湯の成分
(2包:5g中)日局カッコン2.68g・日局タイソウ2.01g・日局マオウ2.01g・日局カンゾウ1.34g・日局ケイヒ1.34g・日局シャクヤク1.34g・日局ショウキョウ1.34g
出典:ツムラ漢方公式サイト
妊婦に麻黄は禁忌?
麻黄(マオウ)は、汗をかく働きがあり、体力が充実しているタイプの人に処方されます。
麻黄が処方されるケースは、表証(急性期)、実証(体力充実)、寒証(悪寒)といわれますが、妊娠している人は虚証(体力がない)に当てはまるので、あわない体質だと言うことです。
汗をかくことで体力が奪われ、副作用が強く出ることが心配されるので、『日本臨床漢方医会』では、「妊婦には用いないこと」と言っています。
市販の葛根湯の説明書きには?
出典:ケンコーコム (滋賀製薬葛根湯液)
ドリンクタイプの葛根湯はどうなのでしょう?
説明書を読んでみると…使用上の注意には、『妊娠・妊娠していると思われる人は医師に相談すること』となっています。
市販薬を勝手に飲むのはやめたほうが良さそうです。
漢方の風邪薬は葛根湯だけではない
妊婦さんには、桂枝湯や香蘇散、麦門冬湯、苓甘姜味辛夏仁湯や虚証に用いる麻黄附子細辛湯を用いるのが良いそうです。
麻黄附子細辛湯は、体のなかの冷えをとってくれるので、虚証でも使えます。
漢方は、体の状態を見て、使い分けするものですから、漢方の風邪薬の代表=葛根湯と決めつけるべきでは無いということですね。
妊婦さんと麻黄・エフェドリン
エフェドリンは気管支を拡張させる働きがある物質です。
麻黄を服用すると、エフェドリンの働きで呼吸がラクになり、咳止め効果も期待出来ます。
ところがこのエフェドリン、 FDA薬剤胎児危険度分類基準(アメリカ)の基準では…
動物生殖試験では胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいは、ヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。注意が必要であるが投薬のベネフィットがリスクを上回る可能性はある(ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること)。
出典: FDA薬剤胎児危険度分類基準 ランクC
安全性について問題無しのA、わからない又は、有害性ありのB~D、禁忌のXまで5段階で判定されており、ランクCは安全が保障されていません。
また、興奮作用・発汗作用があるので、つわりで体力が落ちている場合には注意が必要です。
妊婦さんの風邪の治し方、こちらも参考になります。
関連記事妊婦の風邪は何科にかかる?何でも産婦人科で大丈夫ってホント?
まさかの妊婦さんNGの生薬について
麻黄・大黄・桃仁が入る漢方薬
大黄には子宮を収縮させる作用がありますから、流産や早産のリスクを高めます。
桃仁には、子宮収縮作用、血小板凝集抑制作用があり、やはり流産のリスクを高めてしまいます。
大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)…便秘改善に使われますが、大黄、桃仁が含まれます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…血流改善、子宮筋腫に使われますが、桃仁が含まれます。
桂枝は、スパイスのシナモンですが、大量に摂取すると、子宮出血や流産のリスクがあります。
*妊婦に使用しない方が良い漢方*
大黄(だいおう)
附子(ぶし)
枳実(きじつ)
桃仁(とうにん)
紅花(こうか)
牡丹皮(ぼたんぴ)
牛膝(ごしつ)
薏苡仁(よくいにん)
妊娠前に漢方治療を受けていた場合や、生理痛対策で漢方薬を飲んでいた場合にも、妊娠をきっかけけに体質が変わっていることがありますから、勝手な判断で飲み続けないほうががいいですね。
ハトムギ・アロエもダメらしい…
妊娠中ダメなものとして調べていくと、次々にヒットして、普段健康増進に良いとされているものでさえ、子宮収縮や子宮出血にかかわる場合があるという記載を見付けました。
神経質になると窮屈ですが、妊娠中は、さけた方がいい食品、サプリや生薬があると言うことを覚えておきたいですね。
処方されることが多いpl配合顆粒についてはこちらの記事で解説しています。
関連記事pl配合顆粒は妊婦さんに大丈夫?心配な風邪薬との付き合い方は?
おわりに
- 「妊婦の風邪=葛根湯」が当てはまらないケースがある
- 妊娠中の風邪は、①食事と睡眠、②医師の診断指示に従うのが治し方の基本
- 勝手な判断で市販薬(漢方含む)やサプリメントを使わない
葛根湯は漢方だから体にやさしいし、妊娠中の風邪をひいたら葛根湯だろう…そんなイメージがありますが、発汗で消耗したり、胃腸に負担がかかることがあるんですね。
市販薬を勝手に飲まずに、産婦人科の指示に従いましょう♪
あなたの風邪が早くよくなりますように!
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