妊娠中は薬の影響が心配ですね。
風邪や、発熱するような感染症にかかると、抗生物質が処方されることがあるようですがホントに大丈夫?
先生は大丈夫って言うけど・・・
そんな、あなたの不安にお答えします♪
妊娠中の抗生物質の影響は?
妊娠週数によって、赤ちゃんへの影響力が変わってきます。
0~27日まで 無影響期
赤ちゃんの体が作られていないので影響ナシ
28~50日 絶対過敏期
神経系の器官が作られる時期で影響が大きい
51~84日 相対過敏期
手足・鼻など末端器官が作られる時期
85~112日 比較過敏期
ある程度器官は出来ているが影響を受ける可能性アリ
113日~出産日まで 潜在過敏期
影響を受ける可能性が否定出来ない参考:虎ノ門病院 催奇形危険度評価
妊娠中はいつも要注意?
虎の門病院では、薬のリスクを薬剤の危険度と妊娠日数で評価してます。
妊娠の日数を数えるときには、最終生理日からになりますから、27日までは胎児の体がまだ出来ていません。
28日周期のひとでも、2週間ほどで排卵日、そこで受精したとして着床までに1週間ほど。
生理予定日までの間は、リスクは低いと考えられているようですね。
いちばん影響を考えなければならないのは、妊娠2ヶ月から3ヶ月の妊娠超初期ということです。
『神経系の器官が作られる』…4~7週
中枢神経や臓器ができはじめる頃なので、抗生物質の影響を最も受けやすくなります。
神経系の奇形には、無脳症や二分脊椎などの深刻な障害を引き起こす可能性があり、抗生物質は原則処方はされません。
『手足など末端器官が作られる』…8~15週
末端の器官が作られるこの時期に抗生物質の影響を受けると、手足に奇形などの障害が出たり、目が小さい、鼻が極端に低くなってしまう可能性があります。
『影響の少ない薬は使うこともある』…16週以上
4ヶ月の中期に入る頃になると、重大なリスクはなくなると考えられています。
影響の少ない抗生物質を選んで、必要に応じて使うことが可能です。
妊活中生理が遅れているなら薬に注意
市販の風邪薬は、影響の少ない成分で出来ていますから、うっかり飲んでしまっただけで問題が起こることはまれのようです。
けれども、抗生物質はお医者さんの処方が必要な薬ですし、注意深く扱った方が良いでしょう。
抗生物質は”よく効く”と感じることが多いのですが、種類や使う時期、用量に注意が必要で、お医者さんは超初期の妊婦さんには投与を控えます。
以前処方された抗生物質を自己判断で飲んだりしないようにしましょう。
抗生物質が必要になったら?
抗生物質は、感染症の原因となっている菌の増殖を抑えます。
菌の働きをしっかり抑えて、早く治すためには必要となることがあり、妊娠週数や症状によって薬を使い分けています。
処方されたら飲みきる
抗生物質は、抗菌薬と呼ばれることもあります。
菌の活動を抑えて治療しますから、処方された分量をきちんと飲みきることが大切です。
ウィルスや真菌が原因になっている場合には、抗生物質では効果がありませんから、医師は、原因菌を特定して、治療に効果的な薬で、妊婦にもリスクの少ない種類の薬を処方しているのです。
処方される可能性のある病気は?
『風邪・気管支炎』
風邪はウィルスが原因になっていることが多いのですが、のどや咳、鼻の症状がひどく細菌が悪さをしているようなときや、細菌の増殖が進みそうな場合には、抗生物質で悪化を防ぎます。
ウィルスには抗生物質は効果がなく、風邪症状で受診して抗生物質が出されるのは、扁桃炎など細菌の増殖が起こっているケースです。
体力が落ちていてる場合には、風邪症状の悪化が、肺炎など体の深部に進む心配もあるので、それを防ぐためにも、抗生物質が処方されます。
妊婦さんの場合、薬を飲めないと思い込んで長引かせるより、産婦人科で処方薬を出してもらった方が良い場合もあります。
『副鼻腔炎』
副鼻腔という空間に膿がたまるのが副鼻腔炎です。
細菌が増殖すると、頬やおでこが痛くなったり、熱が出たりします。
体力が落ちるとさらに悪化しやすいので、妊婦でも、16週を過ぎていれば抗生物質で治療した方が良い場合があります。
副鼻腔炎の妊婦に対して「妊婦だから処方はできない」と2軒の耳鼻科で言われたと泣きながら受診
ペニシリン系の抗生剤とアセトアミノフェンを処方。
妊婦でも多くの薬を処方できることを知ってほしい。無駄な医療費だし、治療せずに悪化するほうが良くない— 産婦人科医@成田市 (@syutoken_sanka) September 24, 2016
『膀胱炎』
妊婦さんは抵抗力が落ちて膀胱炎を経験することも多いですね。
菌を抑えるため、抗生物質を使うことがあります。
『虫歯』
虫歯治療でも、抗生物質が使われることがあります。
リスクの少ない5~7ヶ月なら、妊婦さんの治療を行ってくれる歯医者さんもあります。
妊娠に影響の出にくい治療方法と、抗生物質を考慮してくれますし、生まれてからは治療に通うひまも無くなる…という場合、虫歯菌は母子感染するという話もありますから、治しておいた方が良いかも知れません。
『クラミジア』
妊娠検査で、感染がわかる場合があります。
前期破水しやすい、出産で赤ちゃんが感染し、肺炎や結膜炎を起こすなどの心配があります。
感染がわかったら、抗生物質などで治療を行います。
妊婦さんに使えない抗生物質
アミノグリコシド系
湿疹や皮膚炎、結核のときの抗菌剤として使われます。
ところが、胎児の聴覚の障害や脳神経に影響を与えることがあり、妊娠中は使ってはいけない抗生物質です。
催奇性については、データが不十分という事です。
テトラサイクリン系
大腸菌やクラミジアに対して使われます。
胎盤を通して胎児のに最も影響が出やすいといわれ、肝機能への影響が心配です。
成長期の子どもにも影響が出やすい抗生物質ですから、妊娠中には使ってはいけない抗生物質です。
(骨の発育不全・大人でも皮膚や歯の色素沈着などの報告例あり)
キノロン系
膀胱炎や気管支炎、肺炎に対して使われます。
胎児に骨格異常を起こすことがあります。
動物実験で骨格異常のリスクがあると報告されていますが、ヒトについては気付かずに服用して催奇性の副作用が出た事例はありません。
とはいっても、他の安全性の高い抗生物質に比べると副作用の可能性が大きく、妊娠中に飲んではいけない抗生物質とされています。
妊娠中に処方OKの抗生物質
ペニシリン系
[ パセトシン、サワシリンなど]ペニシリン系は副作用がなく、妊娠中でも処方されることが多い抗生物質です。
ただし、湿疹やアレルギー反応には注意が必要です。
ボドウ球菌、溶連菌、肺炎球菌に対して効果的です。
セフェム
[ケフレックス、メイアクト、フロモックスなど]扁桃炎や気管支炎、中耳炎などの感染症に処方されることが多くなっています。
ペニシリンと良く似た性質を持っていますが、お腹がゆるくなったり、アレルギー症状が出ることもあります。
マクロライド系
[クラリシッド、クラリスロマイシンなど]マイコプラズマや肺炎にも効果的です。
慢性気管支炎や、副鼻腔炎の治療にも使われます。
ショックやアレルギーといった副作用も出にくく、妊婦さんにも使いやすいお薬です。
ニトロフラントイン系
[ニフラテル、フラゾリドンなど]産婦人科で膀胱炎の薬として処方されることが多くなっています。
胎盤を通って赤ちゃんに影響をあたえる心配がないので、妊婦さんへの安全性が高い薬です。
副作用として、まれにおう吐や下痢がみられます。
肝機能や腎機能に持病がある場合には避ける事もあります。
おわりに
- 抗生物質は妊娠超初期には避けるべき薬
- 4ヶ月以降は影響が少なく、処方されたらきちんと飲みきる
- 妊娠中の影響は、薬の種類と投与時期が問題。こじらせる前に受診しましょう
”妊婦だから薬は飲んじゃダメ”だと思っていませんか?
でも、よいタイミングでの抗生物質の服用で、回復が早くなるなら、処方通りきちんと飲んで治してしまった方が良いようですね♪
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