妊娠中の薬は、ちょっと怖いなあと思っている妊婦さんは多いかも。
でも、重症化して赤ちゃんにストレスを与えるよりも薬で早く治すという考え方もあります。
扁桃炎などで抗生剤が有効な場合、フロモックスが処方される場合がありますがリスクはどれくらいなのでしょう?
フロモックスってどんなお薬?
細菌感染症に効果的な抗生剤
抗生剤は、薬品の種類によって○○系のように分類されています。
妊婦さんには比較的影響が少ないといわれている、
ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、ニトロフラントイン系
の抗生剤が用いられます。
フロモックスは、セフェム系の抗生剤で妊婦さんにも処方されることがあります。
セフェム系の抗生剤は、細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を示します。
グラム陰性桿菌(GNR)と呼ばれるグループの細菌に有効で、次の菌が原因の症状に効果的です。
- 大腸菌(膀胱炎など)
- クラブシエラ・ニューモニエ(膀胱炎など)
- インフルエンザ桿菌(肺炎など)
ただし、ウィルスを撃退することは出来ませんから、風邪のウィルス、インフルエンザのウィルスには効果がありません。
ウィルスそのものではなく、菌による感染を起こして、炎症が強くなっている場合に処方されるのです。
どんなときに効果的?
表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,乳腺炎,肛門周囲膿瘍
咽頭・喉頭炎,扁桃炎(扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍を含む),急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染
膀胱炎,腎盂腎炎
尿道炎,子宮頸管炎
胆嚢炎,胆管炎
バルトリン腺炎,子宮内感染,子宮付属器炎
涙嚢炎,麦粒腫,瞼板腺炎
外耳炎,中耳炎,副鼻腔炎
歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎
細菌感染による炎症を抑えてくれるので、皮膚科領域、外科領域、呼吸器、尿路、産婦人科領域、眼科領域、耳鼻科領域、歯科・口腔外科で処方されます。
フロモックスは、いろいろな場面で処方されるお薬なのですね。
フロモックスが効きにくい菌
- 肺炎菌(現れる症状は、たんやせきなど)
- 溶連菌(現れる症状は、のどの痛みなど)
- 黄色ブドウ球菌(蜂窩織炎:ほうかしきえんと読みます。皮膚の織炎深部で菌が増え、広い範囲で赤く腫れあがります。)
本人には風邪、扁桃炎、咽頭炎の区別が付きにくく、原因菌によってフロモックスが効かないこともあります。
フロモックスが処方されてる時は、グラム陰性桿菌(GNR)による症状を抑えることで、回復が早まると考えられる時です。
フロモックスの副作用は?
- 皮疹(赤いブツブツ、かゆみを伴う皮膚の膨れ)
- 下痢、便が柔らかくなる、腹痛
- 吐き気、嘔吐
- 妊婦さんにはリスクより効果が上回る場合処方される
下痢や吐き気は、比較的良くみられる副作用です。
これは、抗生剤が腸内環境を一時的に乱してしまうからだと考えられており、服薬を中止するとすぐに回復するものです。
下痢の回数が多く、体力が心配な場合には、医師に相談しましょう。
また、かゆみのある湿疹が出て息苦しさを感じるなど、アレルギー症状が出た場合には、すぐに服用を中止して医師に連絡しましょう。
フロモックスでの副作用は、0.1~3%といわれており、アレルギー症状などの深刻な副作用はまれで、リスクの低い薬として認識されています。
妊婦さんへの処方について
リスクがゼロではないですが、重症化して赤ちゃんにストレスがかかるリスクと天秤にかけて、処方するか決めています。
ペニシリン系やセフェム系の抗生物質は、胎盤を通して赤ちゃんに吸収されない無いので、妊婦さんにも処方できる抗生剤として活用されています。
催奇性の報告もされていませんし、細菌の感染に対してフロモックスが処方されることは良くあることです。
お医者さんの判断で、フロモックスを使った方が良いと判断されたなら、きちんと服用した方が良いでしょう。
フロモックスを処方された体験談
@pnd5656 妊婦さんへの抗生剤は、原則的にペニシリン系かセフェム系なんだけど、フロモックスはセフェム系で、使わなきゃならない時には、よく処方する薬だよ!
— くにこう (@kunikou) January 31, 2014
扁桃炎で処方されました
妊娠12週の時、38.5℃の熱が出て、フロモックスが処方されました。
セフゾンやフロモックスなら使った方が良いかもとのことでした。
扁桃炎になっていて、細菌の勢いを抑えるには抗生剤を使うのが効果的だし、体の炎症を長引かせない方が、流産のリスクが避けられるとも背梅井されました。
心配でしたが、なかなか熱が下がらずやっぱりお薬で早く治した方が良いかなと思い服用。
幸い、無事に妊娠継続中です!勝手に飲んだり飲まなかったりは、耐性菌の心配もあるからしちゃダメだそうですよ。
(メロンパンナんさん・28歳)
妊娠初期にまさかの膀胱炎!
妊娠9週目で熱が出て産婦人科にかかったら膀胱炎でした。
寒気がしたり、背中が痛かったり結構つらく、フロモックスを処方されました。
薬の影響を受けやすい妊娠初期なのにだいじょぶかな?とちょっと不安でしたが、服用して2、3日もすると落ち着いてきてほっとしました。
薬の影響なく、その後無事出産しました。
妊娠すると抵抗力が低下する事もあって、膀胱炎を経験する妊婦さんは結構いる様ですね。
膀胱炎は、細菌感染が進むと流産することがあるから、早めに抗生剤で対処しておくのがいいと言われました。
(なとりのとろろ・30歳)
薬剤師にリスクを説明されて…
妊娠17週で扁桃炎になり、38.5℃の熱が出て、かかり付けの産婦人科医にかかりました。
熱が高いと赤ちゃんも大変だから、少しお薬使いましょう…といってフロモックスを処方されました。
ところが、処方箋薬局の薬剤師の説明が、結構『リスクあります』みたいな言い方だったので不安になってしまいました。
様子を見て下がらなかったら飲めってことかな…迷っていたら、旦那に、処方されてるんだから飲んで見たらといわれ、結局飲みました。
妊娠中の服薬、迷いますよね。結局、無事に妊娠継続中です!
(ウルトラまま・28歳)
体験談では、フロモックスを処方されたけれど飲まなかったというママもいました。
リスクがゼロじゃないと言われたら迷いますが、38.5℃以上の発熱が3日以上続くと、発熱による赤ちゃんへの影響が心配です。
39.0℃~40.0℃の高熱は赤ちゃんにストレスをかけ、流産を誘発するケースがあります。
妊婦さんの場合、重症化させないことが、ママにも赤ちゃんにとっても優先されるべきだという考えから、比較的安全なフロモックスが良く処方されるのです。
抗生剤を使う場合には、処方された量をきちんと飲みきることが大切です。
ひどい副作用が無い限り、勝手に量を変えたり、飲むのを辞めたりしてはいけません。
中途半端な飲み方で、耐性菌が出来てしまうと、いざという時に効きが悪くなってしまいます。
抗生剤は慎重に処方される
0~4週未満は影響しない
妊娠0から4週の間は、胎児の器官が作られる以前の段階です。
服用時のみの影響を考えれば良いフロモックスのような抗生剤では、38.0℃以上の発熱がある細菌の感染症には良く処方されます。
妊娠初期4~12週までは避ける
神経や器官が作られるこの時期に、最も薬の影響を受けやすいといわれています。
アメリカFDAやオーストラリア基準の薬危険度判定では、妊婦に禁忌、与えるべきでないとされる抗生剤がある中で、『治療上の有益性が危険を上回ると判断される場合にのみ投与すること』と添付文書に書かれているフロモックスは、処方されることがあるお薬です。
抗生物質のフロモックスを使うことで、高熱によるリスクを押さえることが出来るのなら使った方が良いという考え方です。
16週以降は悪化させないため使う
胎児の発達に影響を与えるテトラサイクロン系、キノロン系の抗生剤は、避け、影響の少ないセフェム系のフロモックスなどが使われます。
おわりに
- フロモックスは赤ちゃんに影響を与えにくく妊娠中に処方されることがある
- 耐性菌を防ぐためにも処方通りに飲みきる
- 妊婦は、細菌感染による炎症を軽いうちに抑えた方が良い
抗生剤に不安を感じる人もいますが、フロモックスは処方されたことのある妊婦さんも多く、赤ちゃんへの悪影響が伝わりにくいお薬です。
処方を受けたら、重症化を防ぐために必要だということなのですね。
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