母乳育児にはママの健康や食べ物が関わってくるので、何かと気になること、心配なことが絶えないように思います。
その中の一つに「お餅」があります。お餅は普段からたくさん食べることは少ないと思いますが、
- 小腹が空いたときのおやつ
- お正月などのイベント
- もち米の料理
などで口にすることがありますよね。
でも、お餅は母乳を詰まらせるとも言われているので、母乳育児のママにとっては摂取に気を使う食材とも言えますね。
母乳を詰まらせるからとお餅を避けていても、根本的な理由を知らないと別の食材でも同じようなトラブルを招いてしまうかも!お餅が母乳を詰まらせる原因はこれだったんです!
お餅は母乳を詰まらせてしまう
産院での指導や母乳外来での指導で言われたことがあるかもしれませんが、お餅は母乳を詰まらせる危険がある食べ物の一つです。
お餅が母乳を詰まらせてしまう理由は次の通り。
血糖値を素早く上昇させる
お餅はもち米を蒸して何度もつくという工程を辿りますよね。
もち米には多くのでんぷん質が含まれていますが、このでんぷんは消化がとてもよい成分の一つ。
もともと消化の良いでんぷんですが、蒸すという工程で熱を加えることで更に柔らかくなり、お餅になるとより消化・吸収しやすい状態となるんです。
消化・吸収が早いということは、体内の血糖値も一気に上がるということ。
血糖値が高い状態で母乳が生成される、つまり、高糖質な血液が原料となっているため、母乳にも粘性が。ドロドロした脂っこい母乳は、乳腺を詰まらせやすくするのです。
消化・吸収が早く、ついつい食べ過ぎる
お餅は胃に入ってからわずか1~2時間ほどで消化されてしまいます。
そのため、すぐに空腹を感じ、ついつい多めに口にしてしまうことも…。摂取量が多ければその分糖質やカロリーも摂取することになり、生成される母乳の量も増えてしまいます。
生成量が、蓄えられる母乳量、又は赤ちゃんが一度に飲める母乳量を上回ってしまうと、おっぱいがパンパンに張りやすくなり、乳腺が詰まってしまいます。
お餅は腹持ちがいい食材とも言える
お餅は消化・吸収されやすい、と書きましたが、腹持ちするとも言われています。
一見相反するように思いますが、実は理にかなったもの。
血糖値が高い状態と言うのは、満腹感を得やすい状態のこと。
この血糖値を上げているのが、食べ物に含まれる糖質。糖質は炭水化物に多く含まれるのですが、同量のご飯とお餅を比較すると、炭水化物の量は以下のようになります。
ご飯(100g) 37.1g
なんとお餅はご飯の倍近くの炭水化物を含んでいるんですね!
胃の滞在時間は短いお餅でも、一気に高められた血糖値が満腹感を与え、再び空腹を覚えるまでに下がるには時間がかかるので、空腹を感じにくい人もいるようです。
えっ!お餅から作られた加工品も母乳を詰まらせる?
お餅から作られるものとは
- あられ
- お団子
などがあります。また、もち米から作られるものには
- おはぎ
- 求肥
- 赤飯
- おこわ
などがありますが、これらもお餅を食べた時と同じように母乳の生成に影響を与えるので覚えておくといいと思います。
お餅を食べて何もトラブルがないという方はいいのですが、トラブルを起こしやすいという人はお餅から作られる加工品も、摂取する量やタイミングを考えた方がいいからです。
特におはぎや求肥といった和菓子類には糖分も多く含まれるので、より母乳の生成量が増えてしまいます。
お餅とお米、似ているけれど何が違う?バッチリ比較!
お餅はもち米からできていて、普段食べているお米と何ら変わりはなさそうなのに、どうしてお米よりお餅の方が母乳の生成に影響を与えるのでしょうか。
もち米とうるち米
私たちが普段ご飯として食べているお米は「うるち米」と呼ばれています。
一方、お餅は「もち米」といって、お赤飯やおこわなどに使われるお米から作られます。特徴は、うるち米が半透明なのに比べてもち米は白く不透明です。
大きな違いはでんぷんの成分
うるち米ともち米との大きな違いは、含んでいるでんぷんの成分。でんぷんの主な成分には
アミロペクチン…分解しやすく血糖値が上昇しやすい
があります。
アミロースの割合が少なくアミロペクチンが多いと粘りが強いご飯になり、逆にアミロースの割合が多いと粘りが少ないご飯になります。
うるち米はアミロースとアミロペクチンの割合がおよそ2:8であるのに対し、もち米は0:10。つまり、もち米にはアミロペクチンしか含まれていないのです。
カロリーにも違いが
同量のご飯(お米)とお餅ではカロリーはどのくらい違うのか見てみましょう。
ごはん(100g) 168kcal
お餅のカロリーが高いというのがわかりますよね。
同じ量を食べたとしても、補給されるエネルギーの量も吸収されるスピードも違います。
つまり、母乳の生成スピードや生成量に影響を与えるのはお餅の方なんですね。
とはいえ、母乳の詰まりやすさには個人差も
お餅は母乳の生成に影響を与えると書いてきましたが、当然全ての妊婦さんに当てはまるわけではありません。
乳腺が太い、分泌量が多くなりすぎない、赤ちゃんがよく飲む、など好条件のママはトラブル知らずだということもあります。
何だかちょっと不公平に感じますが…これも体質の違い。
ご自身がどんな体質なのかを知ることは、とっても大切です。
母乳が足りないママにはお餅がおすすめ?
お餅による血糖値の上昇は、悪いことばかりではありません。
母乳を生成するにはエネルギーを必要としますが、ママの身体が疲れていたり、忙しくてしっかりと食事をする時間が取れなかったりするとエネルギーが足りずに、母乳の出が悪くなってしまうことも。
そんな時、手早くカロリーが摂れて血糖値を上昇させられるお餅は、母乳不足の強い味方になるんです!
もしも母乳の出が悪いと悩んでいるママがいたら、間食にお餅を食べてみるのも効果的ですよ。
まとめ
昔から「3日ぼた餅」といって、産後3日目にぼた餅を食べることで母乳の出が良くなると信じられていたほど、お餅は母乳の生成を促す食べ物と認識されてきました。
今ではお餅がなくても母乳に良いとされる食材が身の回りに溢れている時代です。
「良いと言われているから」「ダメと言われているから」ではなく、ご自身の体質と相談すること。
過度な食事制限は逆にストレスになってしまいます。お餅の特徴を生かして、上手につき合っていきたいものですよね。